◆選択肢の制約
制度によって、誰が政策決定に参加し、どのようなプロセスで政策が形成されるかが規定される。アクターはその制度の下で行動を選択するわけだが、その行動の選択自体にも制度による制約がある。制度が、アクターの行動における選択肢を規定するということである。
◆制度による選択肢の提示
制度はしばしばアクターが取りうる選択肢を提示し、それによってアクターの行動が制約される。アクターは、制度の下で自己利益追求の認識をし、場合によっては再定義することになる。
◆歴史的制約
アクターにとっての行動の選択肢はすべて明文化されたものではなく、過去に定められた制度が現在の制度の決定に一定の制約を加えることもある。そのような政策を政策遺産という。特に、過去の制度が現在の制度を強くもしくは他の制度を選ぶのを困難にさせることをロックイン効果という。制度の変更にはコストがかかる上、一度制度が出来上がると粘着性も強くなってしまうために経路依存性(初期の制度選択における歴史的偶然性)が強くなってしまうのである。
◆同型化
行動の選択肢に制約を与える要因として、同型化も挙げられる。同型化は、技術に適応する競争的同型化と社会通念に対応する制度的同型化に分けられ、政策学の分野では後者が注目される。「~はこうあるべきだ」という社会通念という非公式の制度がアクターの認識に影響を及ぼすことによって、間接的に選択肢の範囲が同一の選択肢に限定される。同型化のメカニズムには3つある。同町圧力によって生じる強制的同型化、不確実性を回避するために他の組織の模倣をする模倣的同型化、業界の標準や規範への追従圧力から生じる規範的同型化である。
2017年8月2日水曜日
2017年8月1日火曜日
政策学の復習 その4 ~政策決定と制度①~
◆公共政策学における制度
制度自体が独立変数となり、アクターの行動を規定する。社会的・政治的帰結をもたらす。
◆新制度論
それまでアクターは自己の利益を最大化する行動をとると考えられていたが、実際は個々のアクターは自分の関連する制度によって行動をとるという考え方で、制度そのものを独立変数として捉え、制度による政治的・社会的帰結に注目する。理論化志向。多元主義は政策形成と社会の関係しか見ていないとして批判される。
◆制度
「制度」の定義は人によってさまざまな解釈がされているが、その理由は制度の多様性にある。制度を多様にするのは、その階層性、公式な制度と非公式な制度(明文化されているかいないか)の存在、制度と組織の区分が不明確な部分にある。
◆新制度論のアプローチ
新制度論を分析するアプローチには、国家や社会構造の政策選択の構造、国家間の比較を行ったうえでその政策がどのような過程でつくられどのような影響を及ぼしてきたか(政策遺産)を分析する歴史歴制度論、公式な制度が、経済人の合理的な行動にどのような影響を与えるかを分析する合理的制度論、行動を選択するうえでの「認識」「社会通念」「同型化」現象に注目して制度との関係分析をする社会学的制度論の3つがある。
↓
では、アクターの行動の制約となる制度は、実際のどのような影響を及ぼすのだろうか?
↓
◆制度による影響
制度は、だれが参加するのか、アクター間の力関係、決定におけるルールに対して機能する。参加者については、どのような場で決定するか、ということを制度で定めることにより、誰が政策決定に関与できるかが決められる。権力関係については、制度が誰にどのような権限を与えるかにより、アクター間の力関係が規定される。この際、上位組織からそれに属する会組織に対して強制的圧力が働き、特定の政策選択に影響を与える。また政策決定の場では、参加者がどのように行動をとるかということや決定までのプロセスが制度によって制約されている。誰が法案を提出でき、どこで審議し、いつまでに決定するといったようにプロセスが制度化され、アクターはその制度にあわせたゲームを行うようになる。このとき政策決定に大きな影響を与えるのが、拒否点である。拒否点とは政策決定過程において特定のアクターが拒否権を行使できる段階のことで、拒否点の数がどのくらいありどこに存在するかにより、政策選択や政策の変化に影響を及ぼす。
制度自体が独立変数となり、アクターの行動を規定する。社会的・政治的帰結をもたらす。
◆新制度論
それまでアクターは自己の利益を最大化する行動をとると考えられていたが、実際は個々のアクターは自分の関連する制度によって行動をとるという考え方で、制度そのものを独立変数として捉え、制度による政治的・社会的帰結に注目する。理論化志向。多元主義は政策形成と社会の関係しか見ていないとして批判される。
◆制度
「制度」の定義は人によってさまざまな解釈がされているが、その理由は制度の多様性にある。制度を多様にするのは、その階層性、公式な制度と非公式な制度(明文化されているかいないか)の存在、制度と組織の区分が不明確な部分にある。
◆新制度論のアプローチ
新制度論を分析するアプローチには、国家や社会構造の政策選択の構造、国家間の比較を行ったうえでその政策がどのような過程でつくられどのような影響を及ぼしてきたか(政策遺産)を分析する歴史歴制度論、公式な制度が、経済人の合理的な行動にどのような影響を与えるかを分析する合理的制度論、行動を選択するうえでの「認識」「社会通念」「同型化」現象に注目して制度との関係分析をする社会学的制度論の3つがある。
↓
では、アクターの行動の制約となる制度は、実際のどのような影響を及ぼすのだろうか?
↓
◆制度による影響
制度は、だれが参加するのか、アクター間の力関係、決定におけるルールに対して機能する。参加者については、どのような場で決定するか、ということを制度で定めることにより、誰が政策決定に関与できるかが決められる。権力関係については、制度が誰にどのような権限を与えるかにより、アクター間の力関係が規定される。この際、上位組織からそれに属する会組織に対して強制的圧力が働き、特定の政策選択に影響を与える。また政策決定の場では、参加者がどのように行動をとるかということや決定までのプロセスが制度によって制約されている。誰が法案を提出でき、どこで審議し、いつまでに決定するといったようにプロセスが制度化され、アクターはその制度にあわせたゲームを行うようになる。このとき政策決定に大きな影響を与えるのが、拒否点である。拒否点とは政策決定過程において特定のアクターが拒否権を行使できる段階のことで、拒否点の数がどのくらいありどこに存在するかにより、政策選択や政策の変化に影響を及ぼす。
2017年7月22日土曜日
政策学の復習 その③ ~政策問題の構造化~
「問題」
↓
構造が複雑
↓
正確に把握できなければ間違った解決案
↓
どういう構造・性質をしているかを把握することが重要
↓
構造が複雑
↓
正確に把握できなければ間違った解決案
↓
どういう構造・性質をしているかを把握することが重要
◆政策問題の特性
◆政策問題の複雑性
①全体性・・・ほかの問題としばしばリンク
②相反性・・・改善が他の問題の悪化につながることも
③主観性・・・様々な解釈
④動態性・・・絶えず変化していく
◆政策問題の3つの構造
①良構造・・・明確、単一、コンセンサスあり、最適化→結果が予想しやすい
②悪構造・・・無限定的、不明確、複数、コンフリクト→予測が難しい
③半構造
・・・現実的に良構造な問題は少なく、ほとんどが悪構造。◆第3種過誤
悪構造は、第三種過誤を引き起こしやすい。
◎第3種過誤:間違った設定の問題を(正しいと間違って)解くこと。明後日の方向に解くこと。ex)大店法など
※第1種過誤:正しい帰無仮説を間違ったものとして棄却する誤り(偶然ではないのに、偶然だと結論してしまう)
※第2種過誤:間違っている帰無仮説を正しいものとして判断する誤り(偶然なのに、偶然出ないと結論してしまう)
※この二つの誤りは統計的検定でよく発生する。
◆問題構造化の検討
◆ハードシステム思考の限界
政策学科の初期では、「自動化の選好(=合理化)」が目指されていた。その中心的な考え方が「ハードシステム思考」である。
◎ハードシステム思考:与えられた明確な目的から、最適な手段を選択すること
良構造的な問題なら、ハードシステム思考は行えるが、良構造な問題はほとんどない=ほ多くが「悪構造」
↓
目的だけでなく、何が問題化もはっきりしない問題が増えてきた
↓
「自動化の選好」の失敗(=政策システムの限界)
↓
問題がどのような構造なのかに注目すること、問題を構造化することが重要となる
◆政策過程での問題構造化
◆議論への注目
議論を中核とした政策分析がされるようになる。「公共政策は言葉で作られる=議論への注目が大事」
・実証主義的政策分析の限界(問題点)
※実証主義=理論や仮説、数値データなどを用いた、論理的な立場。政策学では前提となる考え方。
①政策分析のイデオロギー性・・・分析の時点で主観が入る(価値搭載性)
②社会的構成としての事実・・・社会にある「事実」は、人の頭で作られたもの
③政策分析の政治性・・・分析の段階で、政治的な視点が入る。
・ポスト実証主義
今までの実証主義に限界が来たなら、考え方を転換する必要がある。
↓
具体的には
①解釈論・・・アクター間の認識の差異、行為の背景や意図に注目
②批判理論・・・政策決定の過程におけるコミュニケーションの問題に注目。議論や審議を重視。
※実証主義とポスト実証主義の違い
実証主義・・・物事の因果関係の説明を重視
ポスト実証主義・・・因果化関係よりも、結果に至るまでの過程を重視
◆言説への注目
ポスト実証主義の流れの中で、言説への関心は非常に高まった(ポスト実証主義は「公共政策=言葉で作られる」という考え方だから)。
・言説分析・・・政策での言説(言葉による表し方)に関する分析。言葉の書かれ方がどのように政策過程に影響しているか
①メタファー(=暗喩)・・・ある言葉・言い方が、ほかの事象を強く印象付け連想させること。ex) "acid rain(酸性雨)"…いかにも環境に悪そうな言い方をすることで、酸性雨=悪という印象が付く。
②物語のストーリーライン(あらすじ)・・・我々は、複雑な状況に直面すると、それを単純にとらえられるように「物語」としてとらえる。この存在が、問題の構造化に大きな影響を与える。
つまり、
メタファーによる誘導
↓
ストーリーラインで一定の因果関係を埋め込み単純化
↓
ストーリラインをもとにした人々の問題認識、問題構造化(=まずい問題だと認識付け)に影響。
◆フレームへの注目
※フレーム=状況を認識し、行動案を選択する認識枠組み(ものの見方)
◎政策分析に「フレーム」の概念を入れるとどうなるだろうか?
↓
政策問題における構造化で、このフレームがどのように調整されるかが重要になる
↓
問題に取り組む人々の間で、フレームの仕方が異なると、問題も複雑化する
↓
問題を構造的に考えるには、当事者同士で、議論などを通しフレーム(捉え方)を一致させる=リフレーミングすることが重要である
ex1)「生存率92%」と死亡率「8%」だと、前者の表現・提示の仕方のほうが受け入れられやすい印象になる→フレーミング効果という
ex2)リスクの認識は、素人と専門家で異なる
素人・・・リスクの大きさを重要視
専門家・・「リスクの大きさ×リスクの発生率」二つの掛け算を重要視
↓
「がんの原因になる項目」
素人・・・タバコ、食品添加物、大気汚染、公害…
専門家・・タバコ、加齢、飲酒、偏食・過食…
↓
もはや違う宗教。
※特に以下の二つのフレーミングが対立する
・自然主義的フレーミング:科学に基づいたフレーミング
・非自然主義的フレーミング:上の逆
②それぞれのフレーミングをもとに、リフレーミング
・それぞれの主観を配慮し、議論、熟考をしたうえで。
③新たなフレーミングの設定
・それぞれのアクター間が合意できるフレームを作る。
お互いの価値観が激しく対立するとき
↓
それまでのように、いきなり価値観を統一しようとしても、それぞれの人々が価値観を容易に変えることは考えにくい
↓
ならば、まずはお互いがある程度合意できるレベルで、合意形成を行うことが必要になる(同床異夢)
↓
その後、細かい部分の対立や課題に取り組むことで、政策が前進する
この流れ、特に同床異夢の状態を作るには、リフレーミングが有効なのである。
これらのように、リフレーミングを通した合意形成の流れをリフレーミングプロセスという。
ex)富山のLRTと熊本のLRTの比較。
↓
政策問題における構造化で、このフレームがどのように調整されるかが重要になる
↓
問題に取り組む人々の間で、フレームの仕方が異なると、問題も複雑化する
↓
問題を構造的に考えるには、当事者同士で、議論などを通しフレーム(捉え方)を一致させる=リフレーミングすることが重要である
ex1)「生存率92%」と死亡率「8%」だと、前者の表現・提示の仕方のほうが受け入れられやすい印象になる→フレーミング効果という
ex2)リスクの認識は、素人と専門家で異なる
素人・・・リスクの大きさを重要視
専門家・・「リスクの大きさ×リスクの発生率」二つの掛け算を重要視
↓
「がんの原因になる項目」
素人・・・タバコ、食品添加物、大気汚染、公害…
専門家・・タバコ、加齢、飲酒、偏食・過食…
↓
もはや違う宗教。
◆どのようにフレームを調整するか?
①フレーム対立の明確化→それぞれの人がどのようなフレームを持っており、どこに、どのような対立が起きているのかをはっきりさせる※特に以下の二つのフレーミングが対立する
・自然主義的フレーミング:科学に基づいたフレーミング
・非自然主義的フレーミング:上の逆
②それぞれのフレーミングをもとに、リフレーミング
・それぞれの主観を配慮し、議論、熟考をしたうえで。
③新たなフレーミングの設定
・それぞれのアクター間が合意できるフレームを作る。
◆リフレーミングへの注目
では、リフレーミングは合意形成のためのツールとなるだろうか?お互いの価値観が激しく対立するとき
↓
それまでのように、いきなり価値観を統一しようとしても、それぞれの人々が価値観を容易に変えることは考えにくい
↓
ならば、まずはお互いがある程度合意できるレベルで、合意形成を行うことが必要になる(同床異夢)
↓
その後、細かい部分の対立や課題に取り組むことで、政策が前進する
この流れ、特に同床異夢の状態を作るには、リフレーミングが有効なのである。
これらのように、リフレーミングを通した合意形成の流れをリフレーミングプロセスという。
ex)富山のLRTと熊本のLRTの比較。
2017年7月21日金曜日
行政学 第4回
◆テーマ:行政システムは具体的にどのように発展してきたのか?
☆多様な行政サービスがどのように生まれ、定着したのか?行政システムはどのような理念に基づいて、どのように変わっていったのか?
◎分かりやすい比較例:ドイツ
◆行政システムのはじまり
◎工業化の前の行政
・自由主義を基軸とした小さな政府(=国があまり口出しをしない)・都市(地方)に自治が与えられ、自律的に政策を行う(その代わり時々国に協力してもらうスタイル)。道路行政や、学校行政、救貧行政など
・当時のベルリンにおける貧窮者:多くが寡婦、2割だけが労働者→労働者が貧困を訴えることはそんなになかった
・そのため教会や市民で扶助をした(国がしたわけではない)
☆この時代は国が介入しなくても市民の間で何とかなった
◎やがて都市化すると
都市化=工業化による産業構造の転換
工業が発展する流れ
①1815~1840:工業化初期、鉄道の建設
②1840~1870:工業成長の兆しの時期
③1870~:工業が発展する時期
都市化や、都市の密集が問題を引き起こすようになるのは、②の時期。
↓
おもに衛生不良による疾病、犯罪
↓
この問題を解消するために上水道の供給、ガスの供給が、公営で行われる
↓
インフラが整備されることにより、さらに都市が発展
↓
それに伴い住宅や、公共交通、電気、下水道などが整備される(③の時期)
☆都市化に伴い、徐々に国の力が必要となってくる
◆第二帝政期(1871~1918)における行政システムの形成
◎国家の新たな行政活動・・・
ビスマルクによる国家の社会政策が加わる
↓
社会保険を始める代わりに、社会主義者を鎮圧(飴と鞭)
※社会主義:労働者に支持された
ただし、行政の活動の総量は限定的。
☆貧しくならないように予防しよう、という考え方が定着した。ただし国はたいして働いたわけではない。
・なぜ都市行政サービスが定着したのか?
①生活改善の考え方が受け入れられた(都市社会主義)
②都市行政サービスに関する専門家の育成が重なった(都市官僚の台頭)
③都市行政サービスが、よく儲かった(営利性)
☆中央集権国家が出来上がり、自治体が国の下請けとなる
◎その後
保守主義レジーム(家族や協会にも手助けしてもらう形)として、新自由主義へと転換していく。
◎都市行政の定着と変容
都市化に伴って、さらに社会が変容。具体的には・・・
①さらなる都市インフラの必要性(住宅建設、公共交通、下水道など)
②日常生活に不可欠となるサービスの必要性(生存配慮という)
→多様な行政サービスの登場→20世紀になると社会扶助にも拡大・なぜ都市行政サービスが定着したのか?
①生活改善の考え方が受け入れられた(都市社会主義)
②都市行政サービスに関する専門家の育成が重なった(都市官僚の台頭)
③都市行政サービスが、よく儲かった(営利性)
◆戦間期においては行政サービスはどのように変化したか?
◎ヴァイマル共和国になり行政システムにも変化が・・・
なぜ行政システムが転換されたのか
①ヴァイマル憲法が制定された=生存権が保障された(=生存配慮が確実なものに)
→国による社会扶助が憲法で保障された
②敗戦による財政圧迫=インフラはある程度発展したので、切った。
※ただし公共交通はドル箱だったので維持。
☆社会国家への転換、中央集権化に伴い都市の自立性が低下=行政サービスを誰が保証するのかが複雑に。
◎不安定な経済と第三帝国
1930年代はかなりの不況で、失業率40%であったが、1935年には失業問題を解決。なぜか
↓
国家の積極的な経済への介入をしたため(アウトバーンや、自動車産業促進など)=純粋な中央集権国家が出来上がる。
↓
国が保障し、自治体が供給する体制になる
↓
典型的なトップダウン型が完成
◆戦後の行政システム
◎福祉国家としての歩み:なぜ普通の国家になれたのか
戦後、西ドイツは「奇跡」といわれる経済復興を達成。なぜか。
↓
国家の介入を許容した、自由主義経済思想を取り入れたから(社会的市場経済)
↓
福祉国家として進んでいく
※日本と同様戦後アメリカの支援、および冷戦の特需によって再建したとも。
↓
国家の介入を許容した、自由主義経済思想を取り入れたから(社会的市場経済)
↓
福祉国家として進んでいく
※日本と同様戦後アメリカの支援、および冷戦の特需によって再建したとも。
◎その後
保守主義レジーム(家族や協会にも手助けしてもらう形)として、新自由主義へと転換していく。
行政学 第3回
行政がどういった軌跡をたどっていたのか。なぜ複雑になったのか?
行政は、初めは絶対王政化で強靭な国家を作るにあたり統治機構を整える必要性から生まれた。その後、ナポレオンが台頭するようになり、領地の支配と引き換えに自治権が与えられ、自由都市が生まれた。これにより、中央地方の関係が出来上がる。
重商主義を進めていった結果、ブルジョワなどの納税者が、自由主義をもとめるようになり、三権分立の概念が誕生した。それによりブルジョワらが政治に加わると、規制廃止の方向に進み、国家は夜警国家化した。
しかし、自由都市が生まれ経済が活発になると、工業化が始まり、工業化が進むと人口が増えるため、都市行政サービスを整える必要が出てくる。また、工業化に伴い誕生した労働者が台頭するようになると、今度は労働者も政治に参加することになるので、左派的、社会政策や労働政策の拡充が求められた。すると国家の行政活動は大幅に増加し、国家は行政国家化した
さらに、世界大戦や大恐慌の影響で、中央集権体制が築かれ、国家は経済に介入する福祉国家となったが、60年代以降の経済停滞や、オイルショックなどで政策が失敗すると、「大きな政府」に対する批判がおおきくなり、新自由主義や社会民主主義など、新しい国家の在り方が模索され、各国で差が出るようになった。
◆絶対王政下
ウェストファリア条約以降↓
領邦国家がひしめく時代
↓
中央集権体制の確立
↓
強靭な国家基盤を作る=統治機構の整備や拡充が必要になる
統治機構の内訳
①君主権=協賛機関。議会の原型
②統治権=遂行機関。内閣の原型
◆地方自治制度への着目
なぜ地方自治制度の整備が必要になったのか?→自由都市の存在地域併合の代わりに、自治権が与えられるようになった。
→①国家による自治の保証 ②国と年の二重構造→中央地方関係が創出される
◆ブルジョアの登場
自由都市化に伴い浸透した重商主義が進むと、市民の中に「ブルジョア」が登場する↓
プルジョア=納税者
↓
自由に商売をしたいので、自由主義を支持する(国は余計なことはせんでええ)
↓
近代市民革命、立憲主義が求められるようになる。
◆立憲君主制と三権分立の成立
君主:「ルールで自分を縛るから、自分はいてもいいよね」ということで、欽定憲法発布。国民議会の開設
↓
三権分立の概念が確立
↓
このとき、法律は行政よりも優位に立っていたが、制度が整ってない上に官僚に自律性があったため、行政を十分にコントロールできなかった
◆近代民主性の議会システムと行政
制限選挙→ブルジョア中心の利益を代表する議会→重商主義の批判(規制や助成はだめだ!だめだ!)→国防、治安維持以外はほったらかしくらいでいい!と。◆工業化と都市行政の発展
自由主義政策を進めていった結果→工業化:産業革命↓
工業化による変化
①都市化、②都市問題の発生、③労働者の登場
↓
都市行政サービスが発展する
地方に自治権があり、全権限性(必要なことは何でもしていいよ)があったので、実行できた
↓
工業化によって、地方政府レベルで行政活動が大幅に増加した
◆労働者の台頭
労働者が増え、階級対立が激化①よりよい生活=福祉の要求
②そこから、革新的思想の誕生
③労働組合の結成
◆現代民主制と職能国家、行政国家
普通選挙制度の導入→いろんな人の意見が政治に反映される(もちろん労働者も)↓
左派政党の影響力が急増
↓
社会政策、労働政策の拡充=行政の活動がデカくなる
↓
立法府よりも行政府(=議会よりも専門家集団)のほうが説得力のある、いわゆる行政国家、職能国家となる
なお、行政サービスの権限は中央政府に帰属する一方で、実施は地方政府
↓
地方政府の自立性喪失
↓
福祉国家の中央地方関係が作られる
◆福祉国家
①世界大戦で、中央集権化②大恐慌で、経済への介入
程度の差はあれど、先進諸国では1960年代まで福祉国家が進展
◆その後、脱福祉国家
1960年代以降、各国で産業が行き詰まる1973年オイルショックで経済停滞→福祉国家の黄金期が終焉
↓
大きな政府への批判
↓
新たな道へ
①自由主義路線
②社会民主主義路線
③保守主義路線
2017年7月20日木曜日
行政学 第14回 民営化
◆民営化とは
民営化:公企業の所有と経営とが、政府以外に変化すること
◎民営化のメリットデメリット
+効率化、スリム化、競争の原理が働けば品質向上
-赤字の切り捨て=国内での格差、コスト削減施行に伴う品質低下
◆国鉄民営化
鉄道は、19世紀から20世紀初頭にかけて国営化されるケースが増えた
・儲かるし
・重要なインフラ
だったため。
↓
しかし、新自由主義の考え方が広まると、公共事業の民営化が叫ばれるように
↓
国鉄も、その流れを受けて、累積赤字を解消する目的も含めて民営化。
ただし、民営化の度合いは各国で異なる。
◆日本とドイツの国鉄民営化比較
日本
①地域を分割した民営化 ②すぐに完全民営化はせずに様子を見ながら。
→私企業として採算の取れるものとして扱っている。
ドイツ
①上下分離方式 ②都市と地域の分割と地方分権化を意識 ③EUの影響 ④民営化されたドイツ鉄道の株は政府が保有
→採算の取れない公共サービスであるが、民営化できるとことは民営化する。
◆日本の国鉄民営化
なぜ民営化したか
・地域密着(表の理由)
・累積赤字の解消、利益誘導(裏の理由)
・シェアの衰え
・サービス品質の低下
選挙に当選するため、収支が合わないことを知りながらも建設された路線もしばしば。もちろん赤字。
↓
国鉄から、JR7社へ。
・扱いは、特殊会社=部分民営化
・地域で分割したのが日本の特徴(地域間で鉄道経営に差がある)。分割民営化が成功だったかどうかは、現在も議論されている最中
◆ドイツの国鉄民営化
コール政権が成立し、新自由主義が台頭、小さな政府的な考え。
◎ドイツの境遇
・赤字の累積
・経営改善にも限界
・東西ドイツどちらも経営難だったのに統一され余計厳しい
・EUの交通政策の影響
このようなこともあり、早期(’70年)から地方路線の赤字を認識、問題視。
↓
連邦で責任をもって面倒見てほしい派(地方政府)と地方のことは地方に任せる派(連邦政府)が対立。
↓
生存配慮=生活維持のため、赤字でも路線を残す方向性に
①インフラ部門の安定的供給 ②権限の獲得お呼び財源の保障
ということで1994年民営化
↓
1996年、上下分離化
近距離旅客鉄道に関する権限を州政府に移譲。
民営化:公企業の所有と経営とが、政府以外に変化すること
◎民営化のメリットデメリット
+効率化、スリム化、競争の原理が働けば品質向上
-赤字の切り捨て=国内での格差、コスト削減施行に伴う品質低下
◆国鉄民営化
鉄道は、19世紀から20世紀初頭にかけて国営化されるケースが増えた
・儲かるし
・重要なインフラ
だったため。
↓
しかし、新自由主義の考え方が広まると、公共事業の民営化が叫ばれるように
↓
国鉄も、その流れを受けて、累積赤字を解消する目的も含めて民営化。
ただし、民営化の度合いは各国で異なる。
◆日本とドイツの国鉄民営化比較
日本
①地域を分割した民営化 ②すぐに完全民営化はせずに様子を見ながら。
→私企業として採算の取れるものとして扱っている。
ドイツ
①上下分離方式 ②都市と地域の分割と地方分権化を意識 ③EUの影響 ④民営化されたドイツ鉄道の株は政府が保有
→採算の取れない公共サービスであるが、民営化できるとことは民営化する。
◆日本の国鉄民営化
なぜ民営化したか
・地域密着(表の理由)
・累積赤字の解消、利益誘導(裏の理由)
・シェアの衰え
・サービス品質の低下
選挙に当選するため、収支が合わないことを知りながらも建設された路線もしばしば。もちろん赤字。
↓
国鉄から、JR7社へ。
・扱いは、特殊会社=部分民営化
・地域で分割したのが日本の特徴(地域間で鉄道経営に差がある)。分割民営化が成功だったかどうかは、現在も議論されている最中
◆ドイツの国鉄民営化
コール政権が成立し、新自由主義が台頭、小さな政府的な考え。
◎ドイツの境遇
・赤字の累積
・経営改善にも限界
・東西ドイツどちらも経営難だったのに統一され余計厳しい
・EUの交通政策の影響
このようなこともあり、早期(’70年)から地方路線の赤字を認識、問題視。
↓
連邦で責任をもって面倒見てほしい派(地方政府)と地方のことは地方に任せる派(連邦政府)が対立。
↓
生存配慮=生活維持のため、赤字でも路線を残す方向性に
①インフラ部門の安定的供給 ②権限の獲得お呼び財源の保障
ということで1994年民営化
↓
1996年、上下分離化
近距離旅客鉄道に関する権限を州政府に移譲。
行政学 第9回
①日本の中央地方関係・政府間関係はどのような状況にあるのか?
②地方分権改革にどのような背景があり、何がどのように変化したのか?
上記の問いを一言で答えると
①現状
・地方の運営には国からのお金が多く使われており、自立しているとは言い難い。
・権限においては、文面上は国と地方は対等である。
・人事においては、出向が、国と地方の「人事交流」的な側面を持っているともいえる。
②経緯
・戦前:集権・融合の中央地方関係が構築された。集中的分散システム、集権融合型、市町村横並び平等主義
・GHQ期:事務とお金の分離はなされたが、完全分離・明確化はしなかった
・独立後:GHQで行われた政策の多くは廃止され、戦前への逆コースをたどった
・第一次地方分権改革:法制度、権限に関する集権・融合の是正、緩和がなされた。国の包括的な指揮監督権の廃止、機関委任事務の廃止
・2000年代半ば以降:財政、事務の分権化に着手されたが、自治の確保と国のコントロールは果たしてどうだろうか
②地方分権改革にどのような背景があり、何がどのように変化したのか?
上記の問いを一言で答えると
①現状
・地方の運営には国からのお金が多く使われており、自立しているとは言い難い。
・権限においては、文面上は国と地方は対等である。
・人事においては、出向が、国と地方の「人事交流」的な側面を持っているともいえる。
②経緯
・戦前:集権・融合の中央地方関係が構築された。集中的分散システム、集権融合型、市町村横並び平等主義
・GHQ期:事務とお金の分離はなされたが、完全分離・明確化はしなかった
・独立後:GHQで行われた政策の多くは廃止され、戦前への逆コースをたどった
・第一次地方分権改革:法制度、権限に関する集権・融合の是正、緩和がなされた。国の包括的な指揮監督権の廃止、機関委任事務の廃止
・2000年代半ば以降:財政、事務の分権化に着手されたが、自治の確保と国のコントロールは果たしてどうだろうか
行政学 第7回
日本の行政機構はどのような構造を有しているのだろうか
どういった特徴を持っているのだろうか
・1府12省庁制・・・内閣府がトップ
・内閣府の仕組み:①合議制②分担管理③首相指導
◎外局・・・・・内部部局の外に設置された委員会や庁。半独立的。(金融庁など)
◎なぜ外局があるのか?
・高度専門的な内容なため
・内局に置くと中立性が保たれないため(そのため公正取引委員会などは外局に設置される)
②定員管理の制度が強く、組織構造に変化が起こりにくい。行政機関の膨張抑制に貢献したが、政策課題に弾力的に対応できにくい(鉄格子効果)
③大臣庁(庁であるが大臣が設置される)による調整→内閣主導を目的として設置されたが、結果はそうならなかった。
→全体的に硬直的で、外部からの干渉を排除した性格。内閣の影響力は制限的である
日本の行政システム・・・中央政府従事者の割合が世界的に見ても少ない。その代わり地方公務員や、準行政機関・外郭団体(=グレーゾーン組織)従事者が多い
→地方公務員・グレーゾーン組織の影響力や担う役割は大きいかも?
◎グレーゾーン組織①:準行政機関
①特殊法人
②特殊会社
③認可法人
準行政機関や外郭団体の役割、批判とは?
→+行政機能の代行や補完 -機能重複による非効率性、民業圧迫、不祥事の温床
◎グレーゾーン組織②:業界団体
同業の企業が集まり、業界の利害調整を行う非営利組織。行政活動の一部を担いつつ、行政に対し、行政への働きかけを行う。
→+円滑な政策形成・実施、政府コストの抑制 -民民規制による競争阻害、癒着
↓
・内閣機能の強化
・省庁再編
・独立行政法人化
・政策評価
などが改革点となった。
②巨大省庁の誕生→これまでの省庁を約半分に減らし、スリム化。
③内閣官房の強化→内閣を支えるバックグラウンドを強化
④内閣府の設置→他省庁からも一段高い立場から企画立案、総合調整。
「効率的」とは具体的に、
・政策形成と政策実施を分離→自律性、透明性の向上
・公務員数の削減
をいう。
特殊法人と異なり、法人税や固定資産税などは納めなくてはならない。また、行政評価も実施される。
②内閣機能拡充で得たものは?
+首相や内閣主導の統治(の可能性) -内閣官房・内閣府の肥大化。司令塔昨日の喪失
→政策課題の増大でリーダーシップが発揮しづらいのでは?(←2015年にこれは多少解決済み)
③独立行政法人で得たものは?→癒着の減少。ただし実質的にどうかはまだなんとも
→日本の省庁体制は定員管理の精度が強く、組織構造がの変化が生じにくいうえ、分担管理で行政が行われていたため内閣によるリーダーシップもあまり大きくなかった。
・なぜ体制を変えられたのか?
→55年体制による政治や行政不信の連続から、体制の改革への要求が国全体として高まったから。
・グレーゾーン組織とは?
→どこの管理下かあいまいな制度の狭間にある領域を埋める組織で、民間にはできない巨大プロジェクトや、効率的な運営を行うことができる反面、民業圧迫や天下り、癒着などが見られ不祥事の温床ともなっていた。その欠陥を埋めるため近年で新たなタイプのグレーゾーン組織も登場しており、組織に変化が生じている。
どういった特徴を持っているのだろうか
◆現在の中央省庁
・1府12省庁制・・・内閣府がトップ・内閣府の仕組み:①合議制②分担管理③首相指導
◆行政組織の基本構造
◎内部部局・・・官房と局、部、課の総称。省内部の事務を行う組織。◎外局・・・・・内部部局の外に設置された委員会や庁。半独立的。(金融庁など)
◎なぜ外局があるのか?
・高度専門的な内容なため
・内局に置くと中立性が保たれないため(そのため公正取引委員会などは外局に設置される)
◆日本の省庁体制の特徴
①府省が安定。全然変わらない。(ちなみに行政機関の編成が内閣の構成を決める)②定員管理の制度が強く、組織構造に変化が起こりにくい。行政機関の膨張抑制に貢献したが、政策課題に弾力的に対応できにくい(鉄格子効果)
③大臣庁(庁であるが大臣が設置される)による調整→内閣主導を目的として設置されたが、結果はそうならなかった。
→全体的に硬直的で、外部からの干渉を排除した性格。内閣の影響力は制限的である
◆グレーゾーン組織
日本の行政システム・・・中央政府従事者の割合が世界的に見ても少ない。その代わり地方公務員や、準行政機関・外郭団体(=グレーゾーン組織)従事者が多い→地方公務員・グレーゾーン組織の影響力や担う役割は大きいかも?
◎グレーゾーン組織①:準行政機関
①特殊法人
②特殊会社
③認可法人
準行政機関や外郭団体の役割、批判とは?
→+行政機能の代行や補完 -機能重複による非効率性、民業圧迫、不祥事の温床
◎グレーゾーン組織②:業界団体
同業の企業が集まり、業界の利害調整を行う非営利組織。行政活動の一部を担いつつ、行政に対し、行政への働きかけを行う。
→+円滑な政策形成・実施、政府コストの抑制 -民民規制による競争阻害、癒着
◇行政システムの再編
40年間中央省庁体制に変化がなく、グレーゾーン組織に頼ってばっかりいる体制に疲弊してきた。◆行政改革の課題
55年体制では政治・行政不信が続いた→行政改革が叫ばれる。↓
・内閣機能の強化
・省庁再編
・独立行政法人化
・政策評価
などが改革点となった。
◆中央省庁再編
①省庁を目的・昨日に即した編成に。②巨大省庁の誕生→これまでの省庁を約半分に減らし、スリム化。
③内閣官房の強化→内閣を支えるバックグラウンドを強化
④内閣府の設置→他省庁からも一段高い立場から企画立案、総合調整。
◆新しいグレーゾーン組織:独立行政法人
独立行政法人:政府の事業のうち、独立して運営したほうが効率的な部門に、法人格を与えて分離独立させた法人のこと。大学、博物館、病院、研究機関など。「効率的」とは具体的に、
・政策形成と政策実施を分離→自律性、透明性の向上
・公務員数の削減
をいう。
特殊法人と異なり、法人税や固定資産税などは納めなくてはならない。また、行政評価も実施される。
◆再編は成功したのか?
①省庁再編によって、統合はできたか?→まぁまぁできた。国土交通省、総務省など。②内閣機能拡充で得たものは?
+首相や内閣主導の統治(の可能性) -内閣官房・内閣府の肥大化。司令塔昨日の喪失
→政策課題の増大でリーダーシップが発揮しづらいのでは?(←2015年にこれは多少解決済み)
③独立行政法人で得たものは?→癒着の減少。ただし実質的にどうかはまだなんとも
◇まとめ
・なぜこれまで行政体制が変わらなかったのか?→日本の省庁体制は定員管理の精度が強く、組織構造がの変化が生じにくいうえ、分担管理で行政が行われていたため内閣によるリーダーシップもあまり大きくなかった。
・なぜ体制を変えられたのか?
→55年体制による政治や行政不信の連続から、体制の改革への要求が国全体として高まったから。
・グレーゾーン組織とは?
→どこの管理下かあいまいな制度の狭間にある領域を埋める組織で、民間にはできない巨大プロジェクトや、効率的な運営を行うことができる反面、民業圧迫や天下り、癒着などが見られ不祥事の温床ともなっていた。その欠陥を埋めるため近年で新たなタイプのグレーゾーン組織も登場しており、組織に変化が生じている。
2017年7月19日水曜日
行政学 第6回
◆日本の統治機構はどのようになっているのだろうか?どのような変貌を遂げたのだろうか?
☆日本の議院内閣制はどのような特徴を持つのか?どのような変化が生じたのか?日本に議院内閣制の下では、首相は強いリーダーシップを発揮できないのか?
◆戦前の統治機構
大日本帝国憲法における首相・・・「同輩中の首席」=弱い首相というのも、
・そもそも憲法に内閣の規定がない
・軍事や行政権は天皇が持っている
・超前内閣なので、議会の多数派が支持してくれるわけではなかった
・ほかの大臣とほぼ対等
→国のトップとして押さえておくべきものを抑えられていない。権力が分立していて、統制が弱い。
◆議院内閣制が始まったころ
・憲法上は、強い首相の可能性が担保されている・ただし、各大臣がそれぞれの分野に強い管理力を持つ(分担管理原則)
→法律レベルでできることがあいまい+官僚をコントロールしにくい
→責任関係が希薄
→官僚制内閣(官僚が内閣の政策に強い影響力をもたらすこと)が確立される
◆高度経済成長期前の政治行政
55年体制・・・与党第一党が自由民主党、野党第一党日本社会党が占める体制。とにかく二つの政党が対立していた。ただ結局自民党がその後も政権党を握り続ける。保守派支配の幕開けとなる。↓
この体制が、行動経済成長を支えるシステムを作り出した
↓
官僚が経済に対して強い影響力を持っていた(国士型官僚:「日本を背負っているのは我々だ」「政治の理念は我々が一番理解している」と考えている)
◆自民党支配の統治構造
◆政府与党二元体制
☆政府与党二元体制で官僚を統制しようとしたが、結果として政官財のトライアングルが生まれ、調整型官僚が登場した。
国士型官僚の強い影響力を抑え、官僚制の統制を行うために、与党を通じて官僚を統制することとなった。
↓
事前審査制の確立=政策審議の場が、自民党の内部で行われる
※事前審査制:内閣に提出する法案を、提出する前に事前に党内で審査をする、という自民党独自の制度
具体的には、政務調査会で、各省庁、省庁別の法案の起草をする
↓
政策を審議するためには専門知識が必要となる
↓
専門知識を有した議員、族議員が誕生。官僚とともに政策を調整するようになる
↓
族議員や官僚を通じて、業界団体(ex.建設、製薬など)が加わる(族議員や官僚につながれば、業界利益を代弁してくれるから)
↓
政財界のトライアングル、鉄の三角同盟が出来上がる
農業における政財界のトライアングル |
これにより、政官財が癒着関係になる
↓
国士型のように政治家を見下すのではなく、多様な利害を整理し最終決定は政治家に任せる調整型官僚が生まれるようになった。
◆疑似政権交代と野党ー55年体制の特徴ー
疑似政権交代・・・実際は政権交代が起きたわけではないが、派閥争いの結果としての首相交代によって、政権の刷新が行わたようにみえること。選挙を経由しない。
なぜこうなるのかというと。。。
↓
自民党がずっと政権与党だった。社会党は野党第一党だが、政権を取るつもりはさらさらなく、ただ自民党に突っ込んでいるだけだった。
↓
このころは、国会を円滑に進めるために裏で取引を行っていたのだが、そこで金品の収受があった。また、この取引が自民党の派閥争い(=自民党にも多様性があった)にも利用された。
↓
与野党の馴れ合いの関係、つまり、野党の社会党が「隠れ自民党応援団」であった
☆野党が与党を実際には支えていたため、自民党政権は安定的であった。与党vs野党ではなく、自民党vs自民党であった。
◆55年体制の崩壊と統治構造の変化
◆55年体制の終焉
安定的な政権は、政治腐敗を招きやすい。
バブルの崩壊や、リクルート事件などで、有識者の意識が変化する
↓
行政改革、政治改革の希求
↓
自民党に支持率や影響力が低下
・1989年の参議院選で、初めてのねじれ国会
・1993年に細川内閣(←自民党以外の党で構成された連立政権)が発足で、自民党が下野。55年体制が終わる
◆政治改革、行政改革
55年体制から脱却後、「改革」が政治・行政の主要なテーマとなる
①小選挙区比例代表制の採用(それまでの中選挙区が、55年体制を支えていた)
②政治資金規正法の改正
③行政改革による官邸機能、内閣官房機能の強化、中央省庁再編
④政治任用の強化(内閣がもっと行政をにぎろう、ということ)
これらの改革のもと、以下のように変化が起きた
①党首の権限が高まる(小選挙区制では、党の公認が非常に重要になるため、公認権を握る党の執行部の権限が高まった)
②派閥の支持に加え、世論の支持も重要となる(小選挙区制では一人のみしか当選しないため、輿論の支持のある議員が当選しやすくなる)
③内閣権力資源が増加。内閣機能の拡充となる
☆首相の権力が高くなる可能性が。
↓
これを実践したのが、小泉純一郎首相であった
◆議院内閣制を取り戻す?
2001年4月、小泉政権誕生
◎経済財政諮問会議、首相補佐官の活用=党ではなく自分自身の中で意思決定をすすめる
分かりやすい例が、郵政民営化。以下のように実現した
①経済諮問会議でまとめた基本方針を、事前審査を通さず(=自民党の承諾、官僚の)を得ずに閣議決定し、法案を提出
②その後小泉首相は自民党の修正案を受諾。
③自民党が修正案に党議拘束(党の人は必ずそれに票を入れなければならない)をかける
④自民党の反対議員に対して切り崩しにかかる(反対してもいいが解散して選挙するぞ)
⑤衆議院では可決、参議院では否決
⑥参議院の否決をうけ、衆議院を解散。なお、この際に反対票を投じた造反議員に対して別の候補者を擁立
⑦結果、公明党と合わせて衆議院2/3以上の議席を確保、郵政民営化関連法案が可決となる
☆分散形の官僚主導の意思決定から、集権型の官邸主導の意思決定へ転換した。首相によるトップダウン型の意思決定へとなった。
2017年7月4日火曜日
政策学の復習 その② ~アジェンダセッティング~
◆アジェンダとは?
一言でいうと、「議題」のこと。詳しく言うと・・・
・政策決定者やその近辺の人々が、注意を払う論点、課題、因果関係に関する知見、シンボル、代替案、解決策のリスト
・検討課題のリスト→政府として何を検討するか、というリストのこと
政府には時間も予算も制限がありすべての課題に対して全力を注ぐことはできないので、どの課題(アジェンダリスト)を優先順位上位にするかを検討しなくてはならない。つまり、どの課題を優先順位上位にするかによって政府の取り組みが変わるということである。
◆アジェンダセッティングの位置づけ
①アジェンダ設定→②政策案策定→③決定→④実施→⑤評価(→⑥廃止)
上の流れを見てもわかるが、アジェンダ設定は政策案策定よりも前の段階にあるため、アジェンダセッティングは「前決定」と呼ばれることもある。
◆なぜアジェンダセッティングが必要か
①資源は有限だから
・財源や人員といった、政策の資源そのものがまず有限であるため。
・政策決定システムには課題処理容量が存在する。政策決定者(総理大臣など)の周りには常に無数の課題が飛び交っており、どの課題に注力するかが時間的側面からも重要になる。
②政策決定システムのボトルネック
この図でもわかる通り、政策の施工にあたって最も難所なのが「国会」である。議会は会期制のため、時間の制約がかなり大きい(時間内に議論が煮詰まらないと流れてしまうこともある)。そのためすべての課題を議論する時間がそもそもない(逆に政策過程の段階でここを通すことを前提に行動することを考えなくてはならない)。
◆アジェンダの種類
2種類ある。
①公衆アジェンダ
・一般の人々(専門知識を有さない人々)が注目する課題のリスト。
※マスメディアによるアジェンダセッティング(メディア・アジェンダ)は、これと区別する見方もあるが、同一視しても問題はない。
②政策アジェンダ
・政策決定に関与する人々(政府内部アクター)が注目する課題のリスト。
※これを出力する際に決定アジェンダという、さらに絞り込まれた短いリスト(決定アジェンダ)が作られることがあるが、これは政策アジェンダと同一視しても問題はない。
重要なのは、公衆アジェンダと政策アジェンダが必ずしも一致するわけではないということである。一般人が早く待機児童をどうにかしてほしいと考えていても、政府が国防を優先的に行う、といった具合である。
◆公共政策とアジェンダの関係や地位変化
公共政策において、「アジェンダ設定が政策出力をいかに左右するか」ということが一番の関心事である。注目点は以下の通り。
・政策アジェンダに乗ることが、政策決定の必要要件なのだろうか?
・もしそうだとしたら、政策アジェンダの上位に上らせる要因は何か?
・公共アジェンダは政策アジェンダと一致するのか?
・政策アジェンダがメディアに頻出することによって公共アジェンダが形成されるのか?
などなど・・・
公衆アジェンダと政策アジェンダを分けるのは、これらの問題を考えるためであるといってもよい。
また、アジェンダには、双方向性がある
・政策アジェンダに乗ることが、政策決定の必要要件なのだろうか?
・もしそうだとしたら、政策アジェンダの上位に上らせる要因は何か?
・公共アジェンダは政策アジェンダと一致するのか?
・政策アジェンダがメディアに頻出することによって公共アジェンダが形成されるのか?
などなど・・・
公衆アジェンダと政策アジェンダを分けるのは、これらの問題を考えるためであるといってもよい。
また、アジェンダには、双方向性がある
①公衆アジェンダ→政策アジェンダ
・一般的
・社会指標悪化や重大事件をメディアが取り上げる→公衆アジェンダ上位→政策アジェンダ
②政策アジェンダ→公衆アジェンダ
・政府の動きに合わせてマスメディアの報道増加→課題が公共アジェンダを上昇させる ex)高速道路問題など
③自己補強サイクル
・政府組織とマスメディアの相互作用
・マスメディアの関心→課題が政策アジェンダに上る→政府が担当組織などを創設→課題に継続的に取り組む→政策アジェンダの上位が維持される→政府の活動が活性化するとマスメディアの関心が高まる→・・・ex)男女共同参画など
④他のパターン
・課題が公衆アジェンダにのらないまま政策アジェンダに乗り政策決定 ex)専門性が高すぎて一般人にはわからない:政策評価など
・ある課題が政策アジェンダに乗ることを、特定の利益集団や政治文化などが妨害(=非決定)
・問題注目サイクル:問題自体はコンスタントに存在しているが、ある時に一定期間注目されたり忘れられたり、またある時に浮上してきたり・・・という循環。不祥事に多い
・政策の窓モデル:
◆アジェンダを動かすものとは
課題を政策アジェンダの上位に押し上げるものは何だろうか
・問題の流れ:特定の課題が注目される過程
・政策の流れ:課題が、有効で実現可能な政策案と結びつくこと
・政治の流れ:政治家などの様々なアクターの影響により、特定のアジェンダが上位に上がる過程
◆アジェンダ設定から政策決定へ
課題がアジェンダに乗っても、直ちにそれが公共政策の採用に結びつくわけではない。決定においては別の考察が必要になる。
・課題定義の政治性
・非決定
・非決定権力
・ゴミ缶モデル
・政策の窓モデル
2017年7月1日土曜日
kato 京急2100形 ブルースカイトレイン 画像集
こんばんは!
今回は、先日6月30日発売となりましたkatoの京急2100形ブルースカイトレインの画像集です!!
それでは、どうぞ!!
前からやってみたかった、阪急9300系との並びです!
いかがでしたでしょうか?
製品化が発表されたときは、そのうち出るだろうなとは思っていましたがやはり驚愕しました(前回も同じことを言ったような・・・)
京急2100形はGMとマイクロエースも製品化していますが、katoも含めてそれぞれの会社の色が思った以上に出ている形式です!
katoは半艶塗装、白っぽいグレーの床下、前面のスリット表現が魅力です。そしてなんといってもお値段(笑)。毎度お世話になっているチヨダレールセンターさんで15,444円ですからね~・・
正直言いますと普段京急に接することは少ないので買うべきかどうか迷っていたのですが、試作品の段階で製品としての完成度が高かったので、購入しました。
結果として、買ってよかったなと思った製品でした!
個人的には、白っぽい床下が意外と好みです。阪急と並べてみてもその違いがお分かりいただけるかと思います。
katoは私鉄フラグシップ車には力を入れており、その意気込みが十分製品で伝わりますね。さて、次は京王新5000系かな・・・?
今後もkatoのアグレッシブな挑み方に注目していきたいですね!
2017年6月24日土曜日
tomix 小田急4000形 画像集
こんにちは!
今日の模型はtomixの小田急4000形です!
それではどうぞ!
撮影にあたって埃を取り除くのを忘れてしまいました。。。申し訳ございませんm(__)m
虎視眈々とE233シリーズを製品化していたtomixですが、それでも小田急4000が製品化されたときはびっくりしましたね。。。。
そして、予想通り、同時期に発表されたE233-2000系が予定通りに発売されたのに対し小田急4000形は延期。やっぱり小田急電鉄が監修をしていたようです。
小田急の鉄道模型は、どれも小田急の監修が入っているので完成度が高いですよね!
代表的なのはマイクロエースのEXEやMSE、tomixのVSEなどですね。
今回の小田急4000形も、小田急が口を出してくれたことで(笑)、実写同様の白っぽい銀色、ポップなインペリアルブルー、全面デザインがしっかり再現されており、「まんま4000形」です!
tomixのE233シリーズといえばギラッギラの銀色で個人的にはあまり好みではないのですが、
4000形でちゃんとダルフィニッシュ仕上げが再現されていてほっとしました・・・
tomixのE233シリーズでは一、二を争う完成度ではないかと感じております。
近年は各社から小田急関係の模型がかなり充実しており、小田急沿線住人としてはうれしい限りです・・・でも、沼にはまりそうで、、、
・・・と思いつつも、今GMの小田急8000を購入しようかかなり迷っていて。。。ああぁ、どうしよう(笑)
ということで、本日もありがとうございました!
【第3回】→ kato 京急2100形 ブルースカイトレイン
【前回】→ tomix 323系
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